หน้าหลัก / 現実ファンタジー / 銀の怪盗は真夜中に覚醒する / 第1話 いつもの日常、忘れられた時計

แชร์

銀の怪盗は真夜中に覚醒する
銀の怪盗は真夜中に覚醒する
ผู้แต่ง: 黒瀬 蓮

第1話 いつもの日常、忘れられた時計

ผู้เขียน: 黒瀬 蓮
last update วันที่เผยแพร่: 2026-07-04 07:39:45

いつもの朝。

母さんの声が朝からうるさく響く。

「紫音ー、のんびりしてるみたいだけど、時間大丈夫なのー?」

「分かってるって!」

寝起きのまま、制服に袖を通し、階段をかけ降りる。

黒川紫音《くろかわしおん》俺の名前だ。

洗面所で顔を洗う。鏡を見ると、少し伸びた髪の隙間から切れ長の目がのぞいている。

「あ、寝癖……」

ワックスを手に取り、跳ねた髪を手ぐしでサッと整えた。鏡の中の自分を見て、

「…まあ、こんなもんか…?」と小さく呟く。

「紫音、何やってるの?」

振り返ると、母さんがニヤニヤとこちらを見ている。

「……べっ別に、寝癖直してただけだし」

声が少しうわずる。

「もぉ…色気付いちゃって…」

手を口に当て、母さんは何だか嬉しそうにしている。

「は?違ぇし?」

「はいはい…」

母さんが小さく笑う。

「ほら、これ…」

弁当をぐいっと身体に押し付けられる。

「時間ないんでしょ?」

「あー、やっべ!」

慌ててカバンに弁当を突っ込み、食パンを口にくわえる。

ふと目の前の棚を見る。見覚えがあるようなないような黒い腕時計。少し気になりつつ玄関で靴を履き、家のドアを開けた。

「行ってきます!」

「いってらっしゃい!」

◻︎◻︎◻︎

授業はいつも通り退屈で、気づけば放課後になっていた。終業のチャイムが校内に響く。

「はぁぁ、やっと終わったー!」

(まあ、ほぼ寝てたけども…)

椅子に座ったまま、大きく伸びをする。

「紫音ー」

声の方へ振り返ると、見慣れた顔が満面の笑みでこちらを見ている。

「……大地、顔がうるせぇ!」

机に肘をついたまま軽口を叩く。

「顔がうるせぇとか、何だよ!こんなに爽やかな親友に向かって!」

「……自分で爽やかって言う奴の顔が見たいな」

「おう、どんどん見ろよー」

いつものたわいもないやり取り。

珍しく部活が休みらしく、久々に一緒に帰る。

爽やかと自分で名乗る親友《バカ》は、長瀬大地《ながせだいち》。幼馴染だ。

まあ自分で自称するだけあって、清潔感があり、さらさらの茶髪、笑顔を絶やさないコイツはそう言っても間違いではないけれど。

二人で教室を出て、並んで歩く。

「なぁ紫音、ちょっと寄ってかないか?」

「金欠だし、お前の奢りならな?」

ニヤっと笑う。

大地は怪訝な顔をしながら

「は?ちげーよ!バスケだよ、バスケ!」

「またかよ!」

小さくため息をつく。

「……お前、勝てねーじゃん?キャプテンのくせに」

大地は図星をつかれたかのように押し黙った。

「……うるせぇ!今日こそは勝つ!」

「言ったな?」

大地を見ながら、俺は少し口角を上げる。

「……ああ、言った!」

少し戸惑いながら、大地は俺の口車に乗る。

「じゃあ俺が勝ったら肉まん奢れよ!」

「望むところだ!!」

二人でいつもの公園に向かった。

◻︎◻︎◻︎

公園――

夕方の空気が、少し冷たい。

大地が軽く息を吐きながら呟く。

「よし、じゃあ俺からな?」

ボールを軽くつきながら、こっちを見る。

「紫音、ちゃんと見とけよ?」

得意げに口元を上げる。

ドリブルして、そのままシュート体制に入り、勢いよくボールを投げた。

バンッ

ゴールポストに当たり、ボールは虚しく地面に落ちた。

「あっ」

大地が気まずそうにこっちを見る。

「よっ!さすがバスケ部キャプテン!」

パチパチと手を叩きながら、棒読みで揶揄《からか》う。

「い、今のなしで!」

大地が手をバツにしながら叫ぶ。

「往生際が悪いぞ?」

ボールを手に取り、指先でクルクルと回しながら、ゴールポストを見る。

「実力の違いを見せてやる!」

ボールを落とす。

軽くドリブルして、そのまま投げる。左手がすっと伸び、右手は添えていた名残のまま離れる。

ボールが静かに弧を描き、リングへ向かって吸い込まれていく。

「……は?」

ゴール下で、大地が固まり、視線が、こっちに向く。

俺は、ただゴールを見ていた。

少しだけ、目を細めて――

ネットが揺れる。

遅れて、音が響いたのを確認してから、大地を見て、フッと笑う。

「肉まんゲットな!」

大地はちょっと悔しそうにしながら、俺の肩を抱き寄せてくる。

「お前やっぱバスケ部入れよ!」

興奮しながら、顔を思い切り近づけてくる。

「……顔を近づけんな!汗臭ぇよ!」

手で押し返すが、離れない。

「……お前もだろーが!」

顔を合わせて、お互いにケラケラと笑う。

笑い終えた後、少し真剣な顔で大地が呟く。

「……また一緒にバスケやろうぜ」

「中学の時、みたいにさ」

俺は視線をゴールに向け、少し目を細めた。

「……中学の時、な」

ペットボトルを開けて、水をひと口飲む。

「まあ、また気が向いたら、な」

大地が嬉しそうに笑った。

◻︎◻︎◻︎

「そういえばさ……」

思い出したかのように大地が話してくる。

何故かわからないけど、照れ臭そうにボールをいじっている。

(……何だ?気持ち悪いな)

怪訝な顔で、大地を見る。

「あ、あのさ」

「ちょっと、お前には言っておきたくて」

「何を?」

「同じクラスにさ、白石っているじゃん?」

「……白石?」

水を飲みながら返す。

「……し、白石。白石柚希《しらいしゆずき》。おとなしい感じの子だよ」

どこか落ち着かない様子で話してくる。

描いて

「ああ……いたっけ…?」

大地を見ると、バツが悪そうに下を向いている。

(……ははーん?)

少しだけ口元が緩む。

「お前……分かりやすいな」

「あ?」

大地が顔を上げる。

顔を真っ赤にしながら「うるせぇよ!」と返してきた。

「プッ」

思わず吹き出す。

「……笑うなよ!」

大地が照れ臭そうに言う。

少しの間、笑い声だけが残った。

◻︎◻︎◻︎

大地と別れ、家に着いたのは、18時を少し過ぎた頃だった。玄関のドアを開ける。

「ただいまー」

「おかえりー」

キッチンの方から、明るい声が返ってくる。

着替えてダイニングに降りると、父さんがソファに腰掛けていた。

「父さん、今日早いじゃん」

「たまにはな」

新聞の隙間からチラッと俺を見て答える。

「紫音ー」

会話を遮るように母さんが声をかけてくる。

「もうご飯にするからおじいちゃん呼んできてー」

「はいよー」

廊下から縁側に向かう。

「……アレ?」

いつもの定位置に、じいちゃんがいない。

「じいちゃん?」

呼びかけるが、返事はない。

「部屋か……?」

そのまま奥へ向かおうとした、その時――

ガタンッ!!

足を止めて振り返る。

「……っ?」

さっきまで確かに誰もいなかった。

それなのに……いなかったはずの場所じいちゃんが座っている。

(なんだ……これ)

一瞬、眉をひそめる。

「紫音?」

じいちゃんがゆっくりこちらを見る。

「……じいちゃん、さっきそこにいなかった、よな?」

疑問をそのまま口にする。

だけど、じいちゃんは何も答えず、ただ飄々と、「夕飯かのぅ?」と聞いてくる。

「あ、ああ……呼びにきたんだ」

「では、向かうとするかのぅ」

確かにそこにはいなかった。それなのに、振り返ったらなぜか··にいたんだ……。

不思議な感覚を覚えながら、じいちゃんの背中を追う。

じいちゃんの後ろ姿を見ながら、ふと違和感を覚える。

……なんだ?

少しだけ、いつもより背中が大きく見えた気がした。まるで、別人みたいに。

◻︎◻︎◻︎

じいちゃんと一緒にリビングに戻ると、テーブルにはたくさんの料理が並んでいた。

美味そうな匂いと、温かい湯気が立ちのぼっている。

「いただきます」

4人で手を合わせる。

すぐに箸を手に取り、口へ運ぶ。

「めっちゃ腹減ってたんだよなー」

「よく噛んで食べるのよ?」

母さんが少し心配そうに言う。

「子供扱いすんなよ…たくっ」

軽く顔をしかめる。

「紫音、わしの分も食うか?」

じいちゃんが楽しそうに笑う。

「いらねーよ」

即答する。

「若いっていいな」

父さんが笑いながら呟く。

穏やかな空気が家族を包む。

父さんがリモコンを手に取り、テレビをつける。画面には、今日のニュースが流れていた。

TVからの声。

『怪盗アルジェントが、再び犯行声明を出しました』

『盗まれた品が、過去の盗難事件の被害品だったことが判明しました』

母さんがぱっと顔を上げる。

「またアルジェント様のニュースねー」

嬉しそうに画面を見つめる。

「ただの泥棒だろ…」

父さんが気のない返事をする。

「違うわよー!」

母さんは少し興奮した様子で身を乗り出す。

「アルジェント様は違うの!」

「かっこいいのよー!怪盗紳士ってやつー?」

力説しながら、目を輝かせている。

「由紀子、あまり夢中にならないでくれよ…」

父さんが寂しそうに呟く。

(アルジェントか、確かによく聞く名前だな)

両親の会話を聞き流しながら、俺は夕飯を黙々と食べていた。

箸を置く。

「ごちそうさまー」

「はーい、お粗末さまでしたー」

「食べた食器はシンクにね、紫音」

「へいへい」

食器をシンクに置き、そのまま風呂場へ向かう。

◻︎◻︎◻︎

風呂上がり――

タオルで髪を拭きながら廊下に出る。

棚の上の時計に目が止まる。

「朝見た時計か……」

黒いシンプルな腕時計。裏には、小さく文字が刻まれている。手に取って見てみる。

「この時計、いいな……」

指先で軽くなぞる。

「それ、紫音の時計でしょ?」

背後から母さんの声。

「え?俺のだっけ?」

振り返る。

「……何言ってるの?」

呆れたように母さんはため息をつく。

「おじいちゃんに高校合格した時にもらった大事な時計でしょ?」

「もう、どこにでも放置するんだから!」

「……そうだっけ?」

「思い出せねぇ……」

首を傾げる。

「ま、明日からつけて行くか」

時計を棚に戻す。

◻︎◻︎◻︎

自室――

ベッドに腰を下ろし、ふと、さっきの時計のことを思い出す。頭の中を探ってみる。

もらった時のこと。

高校合格祝い。そう言われても、本当に何も思い出せない。もらった日の景色も、じいちゃんの顔も、もらった日の気持ちさえも……。

何かが少しだけ引っかかる。

でも――

「寝るか…」

胸の奥の小さなざわつきを抑えつつ、ベッドに倒れ込む。気づくと、そのまま眠っていた。

その違和感の正体を、俺はまだ知らない――

อ่านหนังสือเล่มนี้ต่อได้ฟรี
สแกนรหัสเพื่อดาวน์โหลดแอป

บทล่าสุด

  • 銀の怪盗は真夜中に覚醒する   第28話 対価の正体

    「シルバー、血が出てるよー」 さっきまで怯えていたログチーが、ポケットの中から顔を出す。「当たり前だっ!」 耳を手で抑える。 耳たぶがジンジンと痛む。指先に生暖かい血が滲んだ。 クロノスは満足そうに、カウンターにさっきのピアスと、アルコール液を置く。ツンとした匂いが鼻を刺す。「……つけねーから!」「つけろ……」 低い声。その場の空気が一瞬で張り詰める。 すごい迫力で睨んでくる。「……睨んでも、嫌なものは嫌だ!」 顔を背ける。「…………」「なんなんだよっ!」「……黙んな!怖ぇから!」「……つけろ」「……はぁ」「わかったよ!つけりゃあいいんだろ!」 渋々と箱からピアスを取り、左耳につける。チクっとした痛みが走る。 クロノスが、そっと小さな紙を差し出す。「ん?何だよこれ?……説明書?」 クロノスを見つめて呟く。「ってかお前が口で説明しろよ」 クロノスを見ると、こちらをガン見している。 瞬き一つしない。ものすごい圧だ。「……っ」 渋々と小さな紙に目を通す。「えーっと、何なに?トルマリン石のピアス」 普段は黒トルマリンで、黒く輝く。能力発動時は青く輝き、以下のことが可能。※ つけてる本人が触ると力が発動。 ① アルカに行ける、帰れる ② 自身の分身を出すことが出来る ③ 相手の嘘を見破る。(集中度合いによる)「……すげーじゃん!」 さっきまでの痛みが一瞬でどうでもよくなる。 ん?続きか? 手書きで何か書いてある……? ………… アルカ、バイト募集中!!「は?」 クロノスは、また不敵に笑う。「……てか、客いねぇのにバイト募集すんな!」「そもそも店長が、威圧的すぎるんじゃね?」「……そのエプロンも、何か返り血?みたいな変な文字書いてるしさ」「……店名だ」「いやいや、読めねぇし……」 手を横に振る。「……ちゃんと縫った!」「いやそこじゃねぇよ!」(てか、刺繍かよ……) 笑いをこらえながら、クロノスに聞く。「……不本意だけど、ピアスありがと、な」「……でも、交換出来るようなもん、 俺、持ってねーぞ?」 クロノスが、視線をログチーに向ける。 ログチーは首をブンブンと振る。「……ポケット?」 黒いカードを出す。「……これか?」 クロノスは頷く。カードを手に取り、不気味

  • 銀の怪盗は真夜中に覚醒する   第27話 図星と代償

    クロノス……?」 背中に汗が滲む。圧倒的な威圧感。 クロノスは、後ろを向き、何かぶつぶつ言っている。「クロノス?」 耳を澄ますと、……俺のエビフライ、とっておきのエビフライ……。(まさか、このおっさん……)「ただのコミュ障か……?」 思わず呟く。 クロノスの眼光が光る。「……はは、俺、声に出てた?」 視線を逸らし、笑って済まそうとする。「……ははは、わりぃ」 頭をかく。 クロノスが、その場でしゃがみ込む。ちらっとこちらを見ながらクロノスが呟く。「……なぜ、わかった?」「は?」「……何が?」 クロノスを見ると、何故か身体が震えている。「……もしかして、図星?」「…………」 何とも言えない空気感。(この風貌で?)(ダメだ……顔がニヤける)「……プッ……はははっ」 耐えきれずに笑う。 静かにクロノスが呟く。「……笑うな」「……わりぃ、恩人に対して失礼だよな」 頭を下げる。「……ほんとに助かった!」「ありがとう!クロノス!」「……その、全部食べちゃって……ごめんな」 手を顔の前に合わせて必死に謝る。「……美味かったか?」 クロノスは静かに言う。 顔を上げて、クロノスを見る。「……ああ、死ぬほど美味かった」 思わず笑顔が溢れた。 ログチーがこそっと呟く。「シルバーがいつもこの顔なら、女の子がほっとかないのにね」 クスクスと笑う。「……うっせぇ!」 ログチーを手で捕まえる。 バタバタもがくログチー。 傍目に見ながら、クロノスが何かを持ってくる。小さな箱。 クロノスは無言で、それを差し出す。「……」(何か言えよ!顔怖ぇよ!) 恐る恐る聞いてみる。「……何?これ?」「……」(開けろってことか?) 箱の中には小さな黒いピアスが一つ。 クロノスの顔を見る。「クロノス……俺、ピアス開けてないし」「せっかくで悪いんだけどさ?」 チラッとクロノスを見る。 後ろを向き、何かを探している。 そっと後ろから覗こうとすると、クロノスがいきなり振り返る。「……っ!?」 ログチーが驚いて、俺の顔に貼り付く。「うわあああああっ」「……っ!」 隙間から、クロノスの手を見ると、裁縫箱の奥に眠っていたような錆びかけの物騒な針を握っている。 まさか⸻? 顔からログチーを引き剥がす間

  • 銀の怪盗は真夜中に覚醒する   第26話 命の恩人は?

    ドアが、静かに開いた。 その先にいたのは、クロノスだった。「……クロノス?」 思わず声が出る。「ってことは、ここ……あの店か?」「……アルカだ」 低い迫力のある声で短く答える。「シルバー、クロノスさんが助けてくれたんだよ?」 ログチーが嬉しそうに言う。 クロノスは表情を変えないまま、紫音を見る。「……動けるなら、降りてこい」 それだけ言って、背を向けた。 クロノスが去った後、「……ふぅ」(相変わらず、圧がすごいな……) ログチーを横目で見る。「お前……あの人苦手じゃなかったっけ?」「顔が怖いだけ、みたいだよ」 少し照れくさそうに笑う。「誤解してたかな?って感じ」「……なんだよそれ」 小さく笑いながら、ふと気づく。「てかさ、お前なんでその姿なんだ?」 ログチーは少し考えてから口を開いた。「……シルバーに声が届かなくなって」「怖くなって……動きたいって……」「……そう強く願ったんだ……」「そしたらね」「気づいたらこの姿になってた」 ログチーが嬉しそうに笑う。「……そっか」 つられるように、紫音も小さく笑う。「……さて、と」「……行くか」 ドアを開ける。 薄暗い電灯が、階段をぼんやり照らしていた。足元を確かめながら降りていく。 一番下のドアを開けると―― クロノスが、静かにこちらを見ていた。 特に言葉はない。 ただ、ゆっくりと左へ視線を向ける。 つられて視線を動かす。 そこには、料理が並んでいた。 唐揚げ、ハンバーグ、エビフライ、コーンスープにサラダ。白いご飯と、柔らかそうな白パン。(……これ、俺の好物ばっかりだ)「これ、もしかして……」 クロノスを見る。「俺のために用意してくれたのか?」「……食え」 短い一言。 いそいそと席に着き、手を合わせる。「いただきます」 箸で唐揚げを掴み、口に運ぶ。「……っ、うま」 噛み締めた瞬間、何故だか視界が滲んだ。 クロノスは、何も言わずそれを見ている。「シルバー、泣いてるの?」 ログチーが首をかしげる。 紫音は慌てて顔を逸らす。「……な、泣いてねーし」 手の甲で目元を拭う。「……湯気だよ、湯気」 一口、もう一口と口に頬張る。「……美味いな」「すげぇ、美味い……」「……そうか」 クロノスが短く返事する。 そ

  • 銀の怪盗は真夜中に覚醒する   第25話 朦朧とした意識の中で

     ここ、どこだ……? 暑さも、寒さも感じない。風もない。 人の気配も音もなく、 ただ—— 何もない空間が広がっている。「……」 わからないまま、前に進む。歩いても、歩いても、景色は変わらない。同じ風景がずっと続いている。 たまらなくなり、腕時計に話しかける。「おいログチー、どうなってる?」「……」 返事はない。 いつもなら、すぐ返ってくるのに……「おい、無視すんなよ」「……」 腕時計を軽く叩く。「なんだよ、寝てるのか?」「……」 反応はない。「は、はは、なんだよ、怒ってんのか?」「……」 ログチーは答えない。「ログチー?」 そっと腕時計をなぞる。「……ッ!」 時計の針が止まっている——? 呆然とその場に座り込む。「……はは、俺、一人かよ」 乾いた笑いが、虚しく響いた。◻︎◻︎◻︎ どれぐらい時間が経っただろうか。少し息を吐き、立ち上がる。「……出口を探そう」 無意識に呟き、前を向いて歩き出す。 とりあえず前へと進む。相変わらず、周りの風景は変わらない。時間の感覚もない。どれぐらい歩いたのかもわからない。 スマホは圏外表示。時間は11月8日9時44分から変わっていない。 体力が限界に近い。意識が朦朧とする。頭の中で、色んな思考が巡る。 腹減った…… ……なんで、こんな…… 身体が……重い…… 足が、痛い…… ……視界が揺れる。 足がもつれて、前に倒れる。 ……俺は……ここで……死ぬのか? 意識が段々と遠のいていく。 ……疲れた……眠い…… ログチー…… そのまま、意識が途切れた。◻︎◻︎◻︎ 声が聞こえてくる——「紫音、バスケやろうぜ!」 大地?「紫音、いい加減にしないと遅刻するわよ?」 母さん? ……戻ってきたのか? うっ……身体が動かねぇ……。 目も開かない。「紫音、父さんとコンビニに行こう!」 父さん?「夢と現実は曖昧なもんじゃの……」 じいちゃん!? 手が届きそうで、届かない。声が出ない……。「シルバー、大丈夫?顔悪いよ?」 ログチー?お前どこ行ってたんだよ! てか、人の顔面に文句つけんな!それを言うなら、顔色だろっ? うっすらとした意識の中で、身体の感覚がふわっと浮いたような気がした。◻︎◻︎◻︎???——「……ん」 ……知

  • 銀の怪盗は真夜中に覚醒する   第24話 静寂の迷子

    「ハァ……ハァ……」「すばしっこい奴だな……」「さすがだよ、ログチー」 両手を挙げて、降参のポーズをしてみる。 ログチーがこちらを振り向き、動きを止めて、ニヤリと笑う。(……かかったな) ログチーに狙いを定めて、両手で確保する。「ははっ油断したな?」 ログチーが手の中で暴れながら、「騙すなんてひどいよー!」 ほっぺたを膨らませながら言う。「俺の勝ちだな」 そう言ったと同時に、そのまま前のめりに倒れる。「……限界だ、体が痛ぇ、腹も減ったし……」(ん?) ふと思い出して、ポケットを探る。 少し潰れたまんじゅう。「これ……さっきのか」 その場に座り、フィルムを外す。少しだけ間を置いて、口に頬張る。「……うまっ」(身体中の疲れが吹っ飛ぶみたいだ……) ログチーが鼻をピクピクしてこちらを見ている。「……なんだよ」「一口」「は?」「いい匂いする」 じっと、まんじゅうを見つめてくる。(……こいつ) ログチーを横目に見ながら、頭を搔く。「しょうがねぇな」 少しちぎって差し出す。 ログチーは嬉しそうにかけらを握りしめて、パクッと一口で食べる。「……うまっ!!」「だろ?」 残りを口に放んだ後、その場に寝転ぶ。屋上には、風の音だけが響いている。「なあ、ログチー」「んー?」「帰れないって、マジなのか?」 ログチーは、ちょっと悩みながら言う。「Revertって言ったら帰れるのかなぁ」「でも、帰れる保証は出来ない」「でもさ」 ぽすっと肩に乗る。「今は“戻れない”ってだけで……」「今は?」「うん」「そのうち戻れるかもしれないし」「戻れないかもしれない」「……」(どっちだよ……)「……まあ、考えてもわかんねぇなら」「試すしかないだろ?」 ログチーが、ハッとして俺を見る。「シルバー!」 ログチーが言い終わる前に、俺は目を閉じて小さく呟く。「Revert」「……ん?」 足元から、感覚が—— 消えない……「アレっ?」 真横から呆れたログチーの声が聞こえる。「もう!また勝手なことして!」「元の姿に戻りたかっただけだし……」 図星をつかれて、つい視線を逸らす。無意識にポケットを探る。 カサッ。 手に何かが当たる。 黒いカード。「さすがに何も書いてないよな……」 無意識にカ

  • 銀の怪盗は真夜中に覚醒する   第23話 未来への軌道修正?

    中川のオフィスを後にし、再度屋上に向かう。 セントラルビル屋上。まだ時間が早いのか、人の気配はない。 再度自分のポケットを確かめるが、やっぱり、USBは見当たらない……「……結局、USBどこ行ったんだ?」「屋上にも落ちてないし……」 再度周りを見渡す。 ログチーはキョトンとしながら言う。「役目が終わったから、消えちゃったんじゃない?」「未来が変わった証拠だよ、シルバー」「過去への干渉、未来への軌道修正みたいなやつ」「特に今回何も起きなかったけどバグってたし……」「色んなことが重なった結果……なのかもね」「……軌道修正、か」 独り言のように呟く。「……中川のおっさんが生きてた」「俺たちがやったことは……」「無駄じゃなかったよな?」 ログチーを見る。「ふふ……」「筋肉痛になった甲斐もあるよね、シルバー」 ログチーがクスクスと笑う。 屋上からの景色を眺める。 初めてのミッションは、全然決まらなかったけど—— 空に向かって、大きく伸びをする。 ログチーが呼びかけてくる。「……シルバー」「……なんだよ?」 ログチーを見る。「……今、いい顔してるよ」 にこにこしながら、ログチーが言う。 思わず視線を逸らし、軽口を叩く。「……うっせぇ、帰るぞ!」「……素直じゃないねぇ」 やれやれ……とログチーは呆れたように呟いた。 11月8日—— 時刻は9時40分「……で、ログチー、どうやって戻るんだ?」「……さあ、わかんない」 思わずズッコケる。 ログチーを両手で掴んで、揺らす。「……なんで、毎回そんないい加減なんだよっ」「……いや、そうじゃなくって……」 目を回しながら、ログチーが答える。 手を止めてログチーを地面に下ろす。 ログチーは、手を下に向けて合図する。「シルバー!ちょっと、そこに座って!」「……なんだよ……?」 地面に足を崩して座る。「何かの儀式か?」「……コホン!」 ログチーが咳払いする。「シルバー、正座!」「お、おう……」「……てか、足が痛いんですけど?」 ログチーが、キッと睨んでくる。「……わかったから」 素直に正座をする。 ログチーが口を開ける。「そもそも……」(何か偉そうだな….)「今、力がバグってる!って言ったでしょ?」(……たしかに言ってたな)

บทอื่นๆ
สำรวจและอ่านนวนิยายดีๆ ได้ฟรี
เข้าถึงนวนิยายดีๆ จำนวนมากได้ฟรีบนแอป GoodNovel ดาวน์โหลดหนังสือที่คุณชอบและอ่านได้ทุกที่ทุกเวลา
อ่านหนังสือฟรีบนแอป
สแกนรหัสเพื่ออ่านบนแอป
DMCA.com Protection Status